Tag / #春

2024.03.15

桃の枝

ひな祭りの日に、アトリエに来客があったので、その日に合わせ数日前に桃の枝を生けた。来客後も、ほころんでいく桃の花に見守ってもらいながら、気持ちに余裕を持って過ごせた。

そういえば、桃の枝を染めたことがないなと思い立ち、すこし花弁が落ちてきたタイミングで染めてみる。時間をかけて煮出すと、黄から橙、真紅へと染液が変化した。枝の奥に秘めていた、色素が徐々に流れ出たような感じ。すぐに染めずに一晩中寝かせてみる。

翌日、色は深みを増した気がした。染めてみると赤味は飛んで、アルミ媒染で橙茶。染める素材が絹ならもっと赤味が出たかもしれない。

2024.03.08

姫踊子草

大人になっても、道草を食う。長野で過ごした幼少期、片道3kmの小学校までの通学路には、食べられる草花がたくさんあった。中でも「姫踊子草」の花の蜜はとても甘く好きだった。姫踊子草はその名の通り可愛らしい見た目だが、生息しているのは、アスファルトの隙間やゴロゴロと小石が転がる空き地、過酷な環境が多い。ちゃんと世間を知ってるお姫様だ。根っこがしっかりと細かく、泥を落とすのが大変だった。

煮出すと緑味を感じる黄色の染液ができた。春を感じる青い匂いがする。染めてみると、あまりはっきりと色付かなかった。仕上げに、鉄をかけてみた。淡灰色に染まった。

2024.03.05

セイタカアワダチソウの若芽

人の手の入っていない空き地を眺めると、時々面白い光景に出会う。例えば、昨年の秋に泡立ち枯れ果てたセイタカアワダチソウと、春に向け育つセイタカアワダチソウの若芽が、同居している様子。隣り合うというより、ちょっと離れたところに新旧それぞれの縄張りがあるように思う。セイタカアワダチソウの若芽を、ストーブで煮出して染めてみる。花咲くころは黄色に染まるが、若芽は薄茶に染まった。冬と春のあわいの不安定な季節に、植物だってまだ明るい色を作る気にならないよな。

2024.02.27

カラスノエンドウ

三寒四温。霙まじりの冷たい雨が降った。急に春になっても、身体も心も置いてきぼりになるからやめてほしいと思っていたから、ちょうどよかった。
アトリエの横の空き地には、春の雑草が少しずつ繁ってきた。雑草達の勢力争い、いまのところカラスノエンドウが強い。たぶん黄色の染液が出てくるだろうと予想していたが、春一番のカラスノエンドウからはフレッシュなグリーンが抽出された。アルミ媒染で薄い黄色。

2020.04.08

オニノゲシ

そわそわ、つい携帯でニュースを見てしまう。ラジオで、手を動かすと心が落ち着くと、心療内科の先生が話してた。アトリエのまわりの雑草で染めてみる。たんぽぽのような花を咲かせるけれど、これはオニノゲシ。明治時代にヨーロッパから来た外来種。トゲがあり、茎が空洞になっている。花、茎、葉、全て一緒に煮出す。アルミ媒染で、花弁に似た黄色。鉄媒染で茎に似た緑。

2020.03.29

よもぎ

アトリエの線路沿い、桜は満開。春の大風に、桜が揺れる。心もサワサワ揺れる日、庭のよもぎの葉で染めてみる。部屋中、若い緑の香り。アルミ媒染で緑がかった黄色、鉄媒染で緑がかった灰色。春が溶けた。草木を眺めて、手を動かして、食べて、よく眠る。

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