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2021.10.02

Colors 染めの世界

恩師のご退職に合わせ、母校で先輩方と展覧会を開催中です。

Colors 染めの世界・八幡はるみと卒業生
9/25(土)-10月6日(水)
11:00-18:00
京都芸術大学ギャラリーオーブ
※完全予約制
https://www.yahataharumi.com

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恩師について。

「haru nomura」を1本の樹に例えるならば、幹から2本に分かれる枝があります。

1本目の枝は、ブランドとしての枝。使い手に寄り添う「使いやすい」ものを、安定的に供給できるように作っていくライン(旅するかばん、Pocket、定番トート etc)。
2本目の枝は、作家としての枝。素材の可能性や造形の面白さを追求し、手遊びを通して、ものづくりの幅を広げていくライン(きれはしかばん etc)。
パッと見れば、一本の樹。でもよく見ると、どちらかの枝が伸び悩んでも、作り続けることができるよう、栄養を分散しています。

そんな樹の育て方を教えてくれたのが、私の恩師、八幡はるみ先生です。
八幡はるみ先生は、枝の剪定も得意です。ハサミを的確な場所に、グサっと入れてくれます。

例えば、いつだったか「センス」について悩んでいた時。
芸術大学にいると、センスの塊のような人に出会うことがあります。
なぜそんな色づかいができるの?どうしてそんな伸びやかな線が引けるの?自分の才能のなさに、ウジウジしていた院生時代。

そんな時「センスはある程度でいい。あなたはブランドとしての思想を深めなさい」と、先生はハサミを入れてくれました。当時はかなり衝撃。今思えば、先生の剪定がなければ、伸びる枝も伸びていかなかった、そう思うのです。センスに囚われていたら、枝は確実にポキっと折れていたでしょう。大学時代に「恩師」と呼べる人に出会えたこと。それが私にとって、何よりの幸運だったと思います。

近くて遠い、憧れの存在。
染織の未来を切り開いた作家であり、素晴らしい指導者。
つくる楽しさも、苦しさも教えてくれた方。
聡明で美しい人。お料理上手で犬が好き。
私の生涯の恩師、八幡はるみ先生。

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Photo by yukimoriya

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