Archive / 2024.09

2024.09.10

旅するかばんの生産につきまして

haru nomuraの代表的な「旅するかばん」。
2015年の発売からロングセラーのかばんで、数回のモデルチェンジを重ねつつ、品質の向上に努めてまいりました。

この度、主要原材料(リネン)の社会情勢による価格高騰と、生地の供給の関係で、現行モデルに使用している旅するかばんの本体生地が廃盤となりました。現在、新たに糸の撚り方を変更しながら、新規生地へのモデルチェンジを進めております。生地の表情としてはほぼ変わらないのですが(私が見てもわからないくらい)、現在のモデルより若干肌触りが滑らかになります。

オンラインストアでは現在の在庫をもちまして、一時「旅するかばん」の販売停止いたします。次の入荷は、新モデルでの販売です。

現在のモデルがお手元にすぐ欲しい方がいらっしゃいましたら、在庫限りになりますので、お早めにネットストアからご注文ください。
14日〜の恵文社さんでのPOPUPでは、通常販売いたします。 
 

2024.09.01

haru nomura と人 vol.26 嶋田好孝(カメラマン・映像作家)

haru nomuraの周辺の人たちにスポットを当てたコラム「haru nomuraと人」。
第26回目は、カメラマン・映像作家の嶋田好孝さんです。関西を拠点に、映画や広告など、映像を用いた幅広い分野でご活躍されています。

前回のVOUで開催した「5essays」の展示では、会場で流していた対話の映像を制作してくださいました。

みなさん、「5essays」の映像を今一度、流れる時間を確かめるような視点で眺めてみてください。たとえば、部屋の光の入り方、対面で座る位置、会話の息遣いや目線…切り取られた全てに嶋田さんの職人のような緻密な設計があります。これは単なる記録では生み出すことのできない時間です。

essay1神馬啓佑/画家 / Record Bag
essay2坂本愛さん/美容師/ Work Apron
essay3仲村健太郎さん/デザイナー/ Stem Bag
essay4堀井ヒロツグさん/写真家/ Soft Stone  
essay5VOU /Gallery &Shop /Mocco 

今回は、嶋田さんに普段のお仕事や、5essaysの撮影の裏側についてお聞きしました。

Q.普段の映像のお仕事について教えてください。

普段は京都や大阪を中心に撮影や映像製作をしています。日本中、時には海外にも行くことがあるので荷造りとお土産を選ぶのが得意です。

会社に勤めていたこともありましたが、今はフリーランスでお仕事させていただいています。

最近は広告の現場に呼んでいただくことが多いですが、美術大学出身ということもありアーティストの友人の作品制作の協力や、舞台で映像を流したりもします。

あまりジャンルに拘らずにいろんな所に顔を出しているせいか、自分でも何の人かよくわからなくなる時がありますが、楽しみながら日々を過ごすことが大切だと思っています。

Q.映像というメディアを選んだ理由。

元々は手で物を作りたくて大学では彫刻を学んでいましたが、自分が作ったものに対しての思い入れが強くなりすぎてしまい、冷静に作品を見れないことに悩んだ時期がありました。

そんな時にビデオカメラで撮った画を見返していると、撮影した時と全く印象が違うことに気がつきました。それがすごく新鮮で、思い入れなく他人が見ている目線と同じ目線でものが見えることに感動しました。当時の先生から「メディアを使って自分から切り離す体験をした」と言われたことを今でも覚えています。そこから独学で学びながら、どうにか今仕事としてやっている感じです。

Q.映像のどんなところに魅力を感じますか?

映像というメディアは行間を捉えるのが得意な媒体だと思っています。

例えば、目の前にいる人と話をしている時、交わされている言葉以外にも、態度やニュアンス、テンポ、また表情や仕草、気配などなど、たくさんの情報を得ています。映像はそのままの時間が切り取れてしまう性質があるので、制作する際には、できるだけ注意を払いながら観る人に、カメラを通して意図が伝わるよう心がけています。

特に好きなのは、脚本とか台本の物語性があるもの(なければ自分なりに考え)を読み解きながら撮影するのが好きです。こういった方法は集団で役割分担して作り上げる際にとても合理的なのでよく使われる方法でもありますが、色々な人の解釈が重なって、できたものは自分では想像もつかなかったものが目の前に現れるので面白いです。ぼくは結構物事を抽象的に捉えてしまうので、特にそう感じるのかもしれません。

Q.haru nomuraの「5essays」の撮影で感じたこと。映像編集で意識した点。

VOUで新作を発表をする際に、haru nomuraの周辺の人たち5名(組)と対話しながら、それぞれに新作バッグのプロトタイプを作る様子を映像にしたいと相談を受けました。対話の様子を映像にして展示の会場で流す映像とのことだったので、まずは会場でお客さんが見ることができる時間を、野村さんとデザイナーの仲村健太郎さんと一緒に決めました。2人が話したい内容を考えてくれていたので、現場ではできるだけ対話の邪魔にならないように撮影しながら、品質を保つにはどうしたらいいかと考えながら撮影に臨みました。その甲斐もあってかそれぞれの対話はとても和やかに、想定していていた時間を超えてもなかなか話が尽きないほど盛り上がっていたので、編集で短くまとめるのにとても苦労しました。仲村さんの紹介で武居さんにタイトルのモーショングラフィックで協力してもらえたりと、みんなで知恵と技術を出して作れたのがとても良かったです。

また個人的に決めていたことがもう一つあって、それは対話が起こっている空間と時間を大切にするということでした。実際の対話では参加していたみなさんが色々な話をしてくれました。例え話や影響を受けたものも紹介してくれたりました。完成した映像では泣く泣くカットした話がたくさんありました。少しでも多くの話を残したいと思った一方で、それよりも対話の中で生まれていた空気感のようなものを残したいと考えていました。想定外の質問に考え込んでいる様子や手探りで新しいものを生み出そうと失敗している様子は、限られた尺の中では一見すると不要な時間やシーンに見えますが、製品がいかに素晴らしいかを説明するためではなく、対話の痕跡を手触りのように感じられる映像を目指して制作しました。及ばなかったことや反省もないわけではないけど、面白く仕上がったんじゃないかと思っています。

Q.さいごに

会場で見ることができなかった人はharu nomuraのYouTubeにあがっていた気がするのでラジオ代わりにでもご覧いただけたら幸いです。

【Profile】
嶋田好孝 Shimada Yoshitaka

1990年兵庫県生まれ、京都市在住。
京都造形芸術大学大学院芸術研究科芸術表現専攻修了。
主にカメラをやったり助手をやったりしています。

・Instagram
@ystksmd

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