2023.08.15

See you…

東京での展示が終了しました。
連日たくさんのお客様にお越しいただき、誠にありがとうございました。

かばんの使用歴10年、4年、1年、半年、3ヶ月と、実際にお使いいただいている様子を見せていただけたのが、何より贅沢な時間。
購入後も、お客様とゆるく繋がれているのが嬉しいです。

今回の柿渋染のグラデーションは、仕上げの際の一手間で生み出しています。
具体的には、媒染液の量や時間、蒸しと洗いのタイミング。本当にちょっとしたことです。身近なイメージでいえば、料理の最後に回し入れるお醤油や酒。さっとかける、そのひと塩が全体の輪郭を作ります。

次はホームタウンの京都。
9月16日〜恵文社さまへ巡回します。

【巡回展 東京/京都】     
haru nomura sacks and bags works exhibition 「柿渋」

「柿渋」はharu nomuraのかばんを代表する色です。柿渋とは未熟の青い渋柿の果汁を長期間発酵させた、日本古来の伝統的な塗料・染料です。防水、防腐、補強効果を持つため、酒袋、番傘、漁網、建築物の塗料として、また民間薬として、火傷、あかぎれ、解毒に効くとして日常的に使われてきました。このように柿渋は、美しいというよりは実用性が大切にされてきた染料です。柿渋の機能性と、素朴さ、使い込むことで生まれる質感は唯一無二。今回の展示では柿渋染めをメインに、茶〜灰〜墨色で定番のかばんを染め上げます。

<京都>
2023年9月16日 (土)~ 9月29日(金)
Open11:00~Close19:00 (最終日14:00)
恵文社一乗寺店 生活館ミニギャラリー@keibunsha_books
〒606-8184 京都市左京区一乗寺払殿町10
※23日には恵文社コテージにてワークショップを開催します。詳細とお申し込みは恵文社HPにて、準備が整い次第募集。

Special thanks to…
字: 佐貫絢郁 
カッティング・DMデザイン:仲村健太郎
会場写真:吉田紳平

2023.08.05

HAGITSUGI DENIM BAG

kioku手芸館「たんす」とharu nomuraのコラボレーションで新しいバッグが出来ました。バッグの素材は、デニム生地のパッチワーク。kioku手芸館「たんす」に通う中田さんが、長年縫い合わせストックしていたものです。中田さんの造形を生かし、できるだけハサミを入れずにharu nomuraがバッグに仕立てました。全て1点ものです。

【展示販売会】
8/18(金)・8/19(土)・8/20(日)
Open13:00~Close18:00
kioku手芸館「たんす」
〒557-0001 大阪市西成区山王1丁目11-5 元・鈴木タンス店
アクセス:地下鉄御堂筋線 / 堺筋線「動物園前」駅 [2]番出口より徒歩5分

【ワークショップ「おしゃべりなかばん」】
持ち寄った布を、おしゃべりしながら分け合って、生地をつなげてかばんをつくりましょう。布にまつわるエピソード、嬉しい記憶も悲しい記憶も、隣り合ったり重なりあったり。仕上がったかばんは、沢山の記憶を語りかけてくる。世界に一つの、おしゃべりなかばん。
日 時 8/20(日)
午前の部10:00-13:00 *9:50 受付開始 / 午後の部14:30-17:30 *14:20 受付開始

場 所 kioku手芸館「たんす」
講 師 野村 春花(haru nomura主宰)
参加費 3,000円(お茶付)
定 員 午前の部6名、午後の6名(要申し込み/先着順)
持ち物 古着や不要な布・切れ端など、裁縫セット  
*「たんす」にある端布や裁縫道具もご使用いただけます。
お申し込み方法 
参加日の前日までに、お名前・午前or 午後の部・人数を明記のうえ、メールにてご連絡ください。
E-mail:info@brk-collective.net

kioku手芸館「たんす」 http://tansu.brk-collective.net

テキスタイル制作:中田さん

かばん制作:haru nomura 野村春花

モデル:牛尾さん+木綿さん

カメラマン:衣笠名津美さん

スタイリングと広報物デザイン:Studio Kentaro Nakamura

事務局:一般社団法人 brk collective 

2023.08.01

haru nomura と人vol.14  大道良太(養蜂家・狩猟者)

haru nomuraの周辺の人たちにスポットを当てたインタビュー形式のコラム「haru nomuraと人」。第14回目のゲストは、養蜂家・狩猟者の大道良太さんです。

大道さんをご紹介する時、どのようにみなさんにお伝えしようかとても悩みました。
直球にいえば、養蜂家・狩猟者。けれど、大道さんにとっては養蜂も狩猟も、ごく当たり前の生活の一部。肩書きというよりも、もっと自然なこと。
もしかしたら、自然の中で暮らしを営む「生活者」としての大道さん、というご紹介の仕方がピタリと合うかもしれません。

ある時、大道さんの採集した蜂蜜を頂いたことがありました。その味の豊かさに、蜜蜂や植物や土や空気や、関わる人の手の存在を強く感じたのを覚えています。毎朝トーストに塗るのが嬉しくて、朝起きるのが楽しみになったくらい(北白川ちせさんに置いていますよ)。美味しく満たされたと同時に、私もそんなものが作りたいと憧れたのでした。

淡々と四季を生きていく。厳しさも豊かさも含めて命を感じていく。その強さは、人間としてとても魅力的です。
今回は大道さんに、自然と動物との暮らしについてお聞きしました。

Q.普段のお仕事や暮らしについて教えてください。

春から秋にかけて養蜂を行っています、狩猟は冬に行います。

春、暖かくなるとミツバチたちはゆっくりと活動を始めます。少しづつコロニーを大きくし、外敵や気温などに負けないチームを作り上げていきます。そこに少し手を加えてやって採蜜量を増加させ、その分を※彼女たちから分けて貰います。

夏、暑すぎる気温と外敵によりコロニーの成長は止まります。夏季は花も少なく、ミツバチたちにとっては働けど働けど成果が出ない季節です。そんな時期には春にたくさん採れた蜜や花粉を戻してやります、そうしてコロニーへのストレスを軽減することは優しいミツバチに育てることにも一役買ってくれます。

秋、花の開花は冬越しに向けて準備をするミツバチたちを助けます。
必要な蜜量やコロニーの規模を確認し、足りない分を補う様に手を貸すことで厳しい冬を乗り切るお手伝いをします。

冬、ミツバチたちは集団で身を寄せ合って暖をとり、貯め置いた蜂蜜を食べて、春を待ちます。減っていく仲間と貯蜜量からストレスが高まり彼女たちの機嫌が悪い季節でもあります。この様な時は手を加えようとせず、そっとしておいてやるのが一番です。他の生き物たちも冬越しに向けてたらふく栄養を蓄えています、狩猟を行う季節です。山を歩き、足跡を見て獲物を判断し、猟犬と共に獲物を追い詰めます。一日がかりで獲れた獲物を仲間と分かち合います、もちろん犬たちも一緒です。狩猟で得る動物の肉が農村地域の貴重なたんぱく源であることは昔も今も変わりません。

自分の生活する地域、風土に順応した季節の営みがまた一年過ぎ、巡っていきます。

※ミツバチのコロニーはわずかなオスバチを除き、すべてメスの姉妹である。

Q.狩猟という仕事ををひとことで言い表すと。

冬季の営みです。
狩猟に係わりのない生活を送っておられる方々にとっては、狩猟は特殊な活動と思われていると思います。しかし狩猟文化が古くから根づいた土地で生まれ育った私からすると狩猟は冬になれば行う営みの一つにすぎません。

Q.どんな時に幸せを感じますか。

季節の移ろいを感じながらの営みに幸せを感じます。
無理をせず、無理をさせずに風土に応じた活動を続けることが地域的な文化を生み出す(守る)と考えています。どこにいても情報を得やすい今日ですが、自分の生活する地域に目を向けて適した選択ができるようになりたいです。

Q. haru nomuraのかばんにまつわるエピソードがあれば教えてください。

長く養蜂に携わってきましたが、数年前に蜂毒に対しアナフィラキシー反応が出るようになりました。エピペンを携帯するようになり、財布、携帯、エピペンが入り普段持ち歩くにも馴染むポーチが無いかと探していたところ、haru nomuraのかばんに出会いました。
最初はごわごわして硬かったカキシブ染めのポーチは三か月ほどで柔らかくなり、今も毎日下げています。

Q.さいごに

haru nomuraのかばんについて。私にとってはかばんは道具ですので、使い勝手が悪ければ使わなくなり買い換えます。ですがまだ当面の間はポーチ探しの必要は無さそうです!

【Profile】
大道良太
1979年京都市生まれ。2002年京都精華大学卒業。
京都北山に生まれ育ち、伝統的な巻き狩りや地域に伝わる養蜂を教わる。狩猟歴、養蜂歴ともに14年。
大日本猟友会狩猟指導員、京都府緑の指導員などを兼任。
主な活動に、環境省主催「ビギナーのための狩猟講座」メインコメンテイター、総合地球環境学研究所「熱帯泥炭社会プロジェクト」植林地害獣捕獲アドバイザーなど。論考に『犬からみた人類史』(勉誠出版、2019年)がある。

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