2025.08.22

商品

Home Form no1. アトリエエプロン

「暮しが仕事 仕事が暮し」という言葉を残したのは、大正から昭和にかけて活躍した陶工の河井寬次郎さんです。京都の清水五条に、河井寬次郎さんの住居兼工房「河井寬次郎記念館」があります。登録有形文化財でもある記念館は静かな住宅街にあり、寬次郎さんの当時のものづくりと暮らしを知ることができます。以前のharu nomuraのアトリエから徒歩15分で散歩にちょうどよく、看板猫のえきちゃんに会いたいという下心もあって、時々訪ねていました。

ある時、学芸員さんにお話を聞く機会に恵まれました。素焼き窯の手前のところで、飾っている写真を指さしながら「こんなふうに庭で洗濯物を干す真横で、釉薬をかけていたんですよ」と教えてもらいました。写真をよくみると、物干し竿から数メートルも離れていない距離に釉薬の甕と寬次郎さん気配があって、暮らしと仕事が思った以上に……激近でした。一歩間違えれば、洗濯物が釉薬まみれ!と、思わず笑ってしまったほどです。私が生まれる前の時代のことですが、ものすごい生活感と人間味、何より愛おしさを感じました。暮らしと仕事を地続きにすることは、いつしか私の憧れとなっていました。

月日は巡り今年の春、アトリエ兼自宅に引っ越しました。今。ようやく夢の一歩をあゆみつつあります。大きな変化としては、1日の大半をエプロンで過ごすようになりました。家の洗濯機を回しながら、染料を煮出す。夕ご飯のかぼちゃを煮ながら、ミシンを踏む。暮らしと仕事の緩やかなグラデーションの中で、エプロンという道具が自然と必要になりました。新作のアトリエエプロンは、そんな私生活の中から生まれたかたちです。

一日中身につけるので、軽く柔らかい素材感。帯状になっている腰紐がベルトがわりになって、身体に馴染む設計です。私は猫背なので、少しでも姿勢を良くしたいという気持ちの現れでもあります。家で使うからこそチャレンジしやすい、コチニールで染めた大人ピンクと、性別年齢関係なく使いやすい灰・緑の3色。ポケットは3つあり、中央の隠しポケットには貴重品を入れて、ちょっとそこまでのお買い物にも役立ちます。胸当てを折り込めば、腰に巻きつけるシェフエプロンにもできる2way仕様です。

「煮物を多く作ってしまったので、よかったら」くらいの軽やかなおせっかい。

暮らしのかけらのお裾分け、今年のブランドテーマ「Home Form」の一作目は、野村のアトリエエプロンでした。

2025年8月