2023.09.01

haru nomuraと人 vol.15 安野真理恵(User)

haru nomuraの周辺の人たちにスポットを当てたインタビュー形式のコラム「haru nomuraと人」。第15回目のゲストは、Userの安野真理恵さんです。

今回Instagramに投稿された1枚の写真がきっかけで、インタビューを依頼することになりました。その写真には、異国であろう地に佇む男性の後ろ姿と、旅するかばんが映っていました。写真に目を奪われて、思わずメッセージを送りました。

やりとりをしていくうちに、写真に映っていたのはご本人ではなくパートナーであること、写真の旅するかばんは誕生日プレゼントとしてパートナーに渡したものであること、写真を撮影した地はアイスランドであること。そして何より、安野さんとパートナーの旅が、人生が、とても豊かであることがわかりました。安野さんと、初めてやりとりをした気がしないな〜と思ったら、過去に思わぬ繋がりもありました(インタビューを読んでみてくださいね)。

今回は初めて持ち主ではなく、プレゼントとしてかばんを贈った安野さんにお話をお聞きします。ご自身の暮らしについてや、アイスランドへの旅について、プレゼントを選ばれたときのことについて丁寧に答えてくださりました。写真も素敵なので、ぜひじっくりとご覧ください。

Q.普段の暮らしやお仕事について教えてください。

東京で6年間グラフィックデザイナーをしていました。今年の春にデザイナーを辞め、一年ほどは働くことから離れてみようと思っています。社会に出てからデザインの仕事しかしてこなかったこともあり、身体を通した体験や経験の少なさが気になっていました。そのため一度しっかりと立ち止まって、自分に意識を向けてあげる時間が必要だと思い、この一年は自分の心が喜ぶこと・心地よいと思えることに素直に従ってあげることにしました。アイスランドへ行ったのも仕事を辞めてすぐのことです。わたしの旅はアイスランドから始まりました。

Q.haru nomuraのかばんをプレゼントに選んだ理由。

パートナーとのお付き合いが始まったばかりの頃、直近で彼の誕生日が迫っていました。プレゼントを渡したいけれど、わたしは彼とこの先どんなことがしたいのだろう…と考えたところ「二人で旅がしたい」と思い至りました。それは物理的に旅をすることもそうですが、人生を旅感覚で楽しんでいける関係性でありたいという思いがありました。そんな時インスタグラムで haru nomura さんの 旅するかばん の投稿が流れてきて、これだ!とビビッときて、すぐに購入させていただきました。大切な人に、自分の想いがそのまま形となって伝えられるプレゼントというのは、中々ないように思います。彼も遠出する時は旅するかばんを使ってくれていて、その姿を見るとわたしも嬉しくなり、出会えたことに感謝しています。

Q.アイスランドの旅について。

アイスランドはイギリスのさらに北西にある、北海道と四国を足したくらいの大きさの島なのですが、国道1号線という島をぐるりと一周している道があります。5月にキャンピングカーを借りて、2週間かけて島を一周してきました。キャンピングカーにはキッチンもベッドも付いているので、立ち止まったところがすぐ家になるという感覚が何とも身軽で心地よく、移動しながら小さな家で暮らしているようで楽しかったです。

また、アイスランドの風景は地球ではない何処かの惑星のようと言われるほど、普段日本に住むわたし達が見ている地球とは異なる世界が広がっています。いつからか時々、人類が誕生する前や、反対に滅んだ後の世界に想いを馳せて、心が安心することがありました。そういった意味でアイスランドは人や文化の痕跡が少なく、ただただ広大な大地や海が広がり続けている国なので、自然と心惹かれたのだと思います。

特に印象に残っているのは、島の南側の外れにあるDyrhólaeyという半島から見た海です。この半島は鳥たちが繁殖のために滞在する場所のため、訪れた時は鳥たちの世界にお邪魔しているような感覚でした。深い霧と強い風に包まれながら30分ほど歩き続け、半島の先に到着すると、今まで見たことのない灰色一色の海が広がっていました。母なる海という言葉があるように、どこか海には母性のようなものを感じてきたのですが、ここから見た海は全てに完璧な無干渉で、ただただ圧倒的な存在としてそこにありました。温度を感じない、けれど恐怖を感じることもない、何かの感情が生まれることさえ憚られるような圧倒的な存在を前にし、生まれて初めて言葉が出なくなる体験をしました。そして地球上で一番強い物質は海なのだと理解しました。あの海を見るためにアイスランドへ行ったんだなと今は感じています。

Q.かばんのお気に入りのポイントは。

旅するかばんをプレゼントとして購入したいと相談のメールをさせていただいた際、野村さんから「カラーはプレゼント用であれば、染料で染めていない生地そのままの色である生成が良いかと思います。何年かは生成で使用し、馴染んできた頃に、今度は彼が自分の好きな色に染め直して、新たなかばんとして楽しんではいかがでしょうか」と提案していただきました。色選びで迷っていたので、野村さんのお話がしっくりと来て、色は生成を選びました。
購入した時に完結しているのではなく、購入してからも変化していく余白のあるところに魅力を感じています。野村さんが自然と関わり作り出す、光あふれる優しい色たちの中で、私たちの旅するかばんは何色に変化するのだろうとゆっくりとその時を待っています。

Q.さいごに

武蔵美に行く前に、野村さんと同じ大学に2年間通っていました。覚えてらっしゃらないかと思いますが、実は一度だけ野村さんからお声を掛けていただいたことがあります。わたしが学内の長い坂道をカートを使って荷物を運んでいたところ、野村さんが「大丈夫ですか?」と声を掛けて下さり、坂の上まで一緒に荷物を運んで下さいました。もう10年ほど前のことですが、心温かくなる出来事だったため、今でも記憶に残っています。あの時感じた野村さんの自然体な優しさと柔らかい雰囲気が、haru nomura さんの商品全体に流れているように感じています。

【Profile】
1992年大阪生まれ。2017年武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。卒業後は出版社とお茶メーカーにてグラフィックデザイナーとして働く。2023年デザイナーを辞める。直近の目標はニュージーランドにある島の南北を貫く3000kmのハイキングコースに挑戦すること。

【Instagram】
nut.of.rice

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