2024.03.08

姫踊子草

大人になっても、道草を食う。長野で過ごした幼少期、片道3kmの小学校までの通学路には、食べられる草花がたくさんあった。中でも「姫踊子草」の花の蜜はとても甘く好きだった。姫踊子草はその名の通り可愛らしい見た目だが、生息しているのは、アスファルトの隙間やゴロゴロと小石が転がる空き地、過酷な環境が多い。ちゃんと世間を知ってるお姫様だ。根っこがしっかりと細かく、泥を落とすのが大変だった。

煮出すと緑味を感じる黄色の染液ができた。春を感じる青い匂いがする。染めてみると、あまりはっきりと色付かなかった。仕上げに、鉄をかけてみた。淡灰色に染まった。

2024.03.05

セイタカアワダチソウの若芽

人の手の入っていない空き地を眺めると、時々面白い光景に出会う。例えば、昨年の秋に泡立ち枯れ果てたセイタカアワダチソウと、春に向け育つセイタカアワダチソウの若芽が、同居している様子。隣り合うというより、ちょっと離れたところに新旧それぞれの縄張りがあるように思う。セイタカアワダチソウの若芽を、ストーブで煮出して染めてみる。花咲くころは黄色に染まるが、若芽は薄茶に染まった。冬と春のあわいの不安定な季節に、植物だってまだ明るい色を作る気にならないよな。

2024.02.27

カラスノエンドウ

三寒四温。霙まじりの冷たい雨が降った。急に春になっても、身体も心も置いてきぼりになるからやめてほしいと思っていたから、ちょうどよかった。
アトリエの横の空き地には、春の雑草が少しずつ繁ってきた。雑草達の勢力争い、いまのところカラスノエンドウが強い。たぶん黄色の染液が出てくるだろうと予想していたが、春一番のカラスノエンドウからはフレッシュなグリーンが抽出された。アルミ媒染で薄い黄色。

2024.02.23

かきどおし

時折、漢方店で手に入れた薬用植物を煮出して色実験してみることがある。薬用植物と植物染料は重なるものが多い。例えば、ウコン、大黄、楊梅皮。今日は、染料棚に眠っていた、「かきどおし」という漢方で染めてみる。ストーブでコトコトに煮出すと、アトリエはメントールのような清涼感のある香りに包まれた。かきどおしは、滋養強壮などの薬効があるそう。染めた布に効果が残るのかはわからないが、すこし元気になれそう。アルミ媒染で渋茶色、鉄媒染で薄い灰色に染まった。

2024.02.19

アボカド

アボカドの皮と種で染めてみる。何度目かのリベンジ。ようやく求めていた色が出る。
ポイントは、皮はよく洗い、乾燥させ、種は砕くこと。抽出後の染液は2日間寝かせること。
抽出したては濁った橙色だった染液が、時を経ると、澄んで赤みを帯びていく。赤みの変化は、冬青の緑葉を染めた時に似ている。
薄紅色に染まった。

2021.11.30

月桂樹

夜の鴨川の流れに逆らって、下鴨神社まで自転車を走らせる。みっこさんから、剪定した月桂樹の枝葉を頂いた。月桂樹、別名ローリエ。数日かけて煮出すと赤系の色になるとのこと。前に、冬青の葉を煮出した時と同じ原理か。作業の合間に5日間かけて、のんびりストーブで煮出す。1日目は黄色みが強く、2日目3日目と煮出しを重ねる毎にだんだん深みのある赤色に。アルミ媒染で、赤みの強い橙色。鉄媒染では緑がかった灰色になる。

2021.01.18

カラムシ(冬)

土間のアトリエは寒い。
冬は石油ストーブの熱で、パンを焼いたり、お茶を沸かしたり、少量だけ染める時は植物の煮出しをしている。

アトリエの前の空き地は、人の手が入ってない。鳥たちが運んでくるのか、クサギの実など、京都市内ではなかなか見かけない染料となる植物が多くある。
夏の間2メートルにもなり、霜が降りると一気に枯れていく植物が、どうやら野生化した「カラムシ」かもしれないと知ったのは最近のこと。
カラムシは古くから植物繊維を取るために栽培されてきた植物で、茎の皮から採れる繊維は麻などと同じく重宝されてきたそうだ。
今日は、冬の枯れたカラムシで染めてみた。

ストーブの熱で、いつも以上にゆっくりと煮出す。
赤みのある茶色が抽出された。アルミ媒染でオレンジがかったベージュ。次は夏の青葉の色を見てみたい。

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