Archive / 2023.05

2023.05.27

雑誌掲載・NHK出演のお知らせ

いつも応援してくださっている皆様へ、お知らせがあります。
5/26に全国発売となりました、NHKテキスト『趣味どきっ!染めものがたり』に野村春花の仕事が掲載されております。
8人の草木染め作家の色を追った企画で、野村は『柿渋』をご取材いただきました。
全12ページ、とても丁寧にご紹介いただいております。また、身近な創作として、ハギレを使った「アートなカード」他をご提案させていただきました。

また、雑誌の発刊と合わせ、6月〜7月にNHKの趣味どきっ!のTVも放送となります。Eテレ毎週水曜日午後9:30-9:55の放送で、全8回です。他7組の作家さんの仕事を拝見できるのが今から楽しみです。野村は第6回目の放送で、7/12(水)となります。また放送日が近づいてきましたらお知らせさせてください。

憧れだった皆様のお名前の中に、自分がいること。
夢のようで、いまだにふわふわと実感がありません。

今回取材していただいたライターさんカメラマンさん、皆様、本当に素敵な方々で。
取材される側としてプロの仕事に触れられたことも、今回の収穫でした。

ぜひ書店でお手に取って、また7月にはTVでご覧いただけますと幸いです。


【雑誌掲載】
『趣味どきっ!染めものがたり』NHK出版、2023年

【TV出演】
Eテレ『趣味どきっ!染めものがたり』
第6回目 野村春花 柿渋 かばんは時を刻む
日時:7/12(水)午後9:30-9:55、再放送7/19(水)午後0:15-0:40

2023.05.22

haru nomura handworks exhibition 「te no ri」

次回展覧会のお知らせです。

展覧会を開催する「月ノ座」は、編集者・文筆家の村松美賀子さんが主催する生活とアートをつなげる実験の場です。
京都大学の側、築100年木造2階建ての洋館アパート「白亜荘」の一室にあります。

今回は、かばんでもふくろでもない「te no ri」という実験的な手の仕事をお披露目いたします。
コラージュのように繋ぎ合わせた、愛でるためのカタチです。

3日間の開催、よろしければぜひお越しください。

 

haru nomura handworks exhibition
「te no ri」
_

2023/06/10(sat)~6/12(mon)
Open 13:00~Close18:00
月ノ座 @白亜荘
〒606-8316
京都市左京区吉田二本松4-6 白亜荘2階19号室
※10日は「白亜荘も十日市」の開催日です

_

ひたすらに、愛でたいもの。

野村春花さんは、野山で採ってきた植物などで、綿や麻などの天然素材の布を染め、かばんをつくっている。野村さんのかばんはシンプルで、使い込むほどにその人になじんでゆく。布はくたっとやわらかくなり、かたちもちょっと変化する。カンガルーのお腹の袋のような、あるいは衣服の一部であるような、何、とは定まらないおもしろさがある。

まだ春の浅い日に、今回の打ち合わせをしていたら、「手のりのふくろ」はどうでしょう、と野村さんが言った。染色した布や革の端切れをつかって、コラージュするようにつくる、小さなふくろ。想像がふくらんで、わくわくした。

しばらく経って、野村さんが試作を届けてくれた。ドローイングをするような感覚で、手から生まれでたかたち。
なんともいえず愛らしく、すぐに手のひらにのせる。布や革の質感もさまざまで、さわっていてたのしくなる。
手のひらでつつみこみ、ステッチの跡をなぞったりもして。
もちろん、中に大事なものをしまってもおけますが、何よりも、ただひたすらに愛でていたい。
そこには、野山を歩いたり、布を染めたり糸で縫ったりと、いくつもの創作の時間がぎゅっとつまっているようで、それもうれしい。

村松美賀子(月ノ座)
_

2023.05.01

haru nomuraと人 vol.11佐貫絢郁(画家)

haru nomuraの周辺の人たちにスポットを当てたインタビュー形式のコラム「haru nomuraと人」。第11回目のゲストは、画家の佐貫絢郁さんです。

国内外で活躍されている佐貫さん。
今回は、レジデンス先のタイのバンコクからのインタビューです。

彼女に出会ったのは学生時代。圧倒的な抜け感とセンス、絵への誠実な向き合い方。当時から群を抜いてカッコイイ作家でした。過去に、haru nomuraのDMのイラスト制作や、モデルとしてもご協力いただいています。人は、自分に無いものに惹かれるといいますが、私にとって佐貫さんはそんな存在。

今回は佐貫さんにご自身の制作活動についてや、レジデンス先での暮らしについてお聞きしました。

Q.普段のご自身の制作活動やレジデンス先での暮らしについて教えてください。

ポーラ美術振興財団の在外研修生としてタイ、バンコクに2022年の7月より滞在しています。コロナの影響で採択から実際の渡航まで2年の保留期間がありました。渡航前までは、京都を拠点に制作をしていました。大学では日本画を学び、それ以降顔料や和紙を使った制作をしていたので、画材が手に入りやすい点では京都での制作は合っていたと思うし、自分の中でもしっくりきていました。

レジデンス先での生活はもちろんさまざまな変化はありますが、正直言うと、日本人居住者の比率も高いですし、不便なくほとんどのものが揃います。なので、他の国での留学に比べて以前までの生活とのギャップは少ないんじゃないかと思います。

一番の変化は朝から学校に通っていることです。10年ぶりくらいにシャープペンの芯と大学ノートの束を買いました。朝学校に通うために8時台の電車に乗ると、山手線かと思うくらいに人が多いです。Heang先生とのクラスは授業というよりも雑談で、誕生年月日から足のサイズ、好きなタイプなど全ての個人情報を知られています。私たちの笑い声が大きすぎて、隣のクラスの子に『山賊の教室』と呼ばれていることを最近知りました。

この街の中にある大きなショッピングモールや建物はどれも似通っているし、そこだけ見ていると世界中の都市が全部同じように感じますが、そういった土地でレジデンスをして作品を制作するということに意味がないかと言われると、私の場合はそうではないと感じています。当たり前ですが、地域の気候は違いますし、住んでいる人はそれに沿った生活や工夫を強いられているので、日本と似たような風景のその合間に見える特有の工夫や小さな差分を発見できることを面白く感じています。歩いてるとよくそんな場面を見かけるので毎日1万5,000歩ほど歩いて汗だくの健康体になってきました。

Q.ご自身の制作テーマについて。

私の作品は生活によるところが大きいので、そのなかで何かを作るきっかけが見つかることが多いです。流されがちな性格なので、生活が制作にダイレクトに影響していて、私生活と制作の壁はほぼ存在しないと思っています。
ある小説家の本を学生時代に読んで、ストーリーではなくどういった方法で描くかというやり方もあるのかと衝撃を受けました。自分の仕事に関しても同様の方法を取ることは可能ではないかと思って制作をしています。
これまで書いてきた黒いドローイングのシリーズは嫌なものや人を極太のラインで描くことで見えない様にする工夫としてはじめたものです。こちらで制作しているドローイングのシリーズも、ノートを開いて勉強することに集中できないので、ポスターを作ろうと思って単語や文章を絵にしていきました。

Q.制作する上でのモチベーションは。

反省すること

Q.「haru nomura」というとどんなイメージが浮かびますか。

卒業制作で作っていた壺のような鞄の印象が強く残っています。
柔和に見える野村さんというキャラクタが頑固なものを作っているということに驚いたし、それが嬉しかったのを覚えています。

Q.さいごに。

私が今滞在している場所では、野良犬や野良猫が地面に落ちているみたいに寝転がっています。そんな猫を見かけるたびに猫好きな野村さんのことを連想します。強烈な日差しのもと、日本の植物とは違った亜熱帯の植物がパワフルに成長していくのを見ていると、野村さんの草木染めも場所が変わることで、どんな変化が生まれるのか想像させられます。


【Profile】
1993年静岡県生まれ。
2021年ポーラ美術振興財団在外研修生として昨年よりバンコクにて滞在制作。
近年の展示に『ここ5年』(People)、『a=A,』(LVDB BOOKS), 『KYOTO ARTIST’S FAIR2021』(京都文化博物館)。BANKARTのUNDER35事業に採択され7月に個展を開催予定。

【Instagram】
sanukiayaka

【HP】
sanukiayaka.com

Category
Archive