Archive / 2023.08
2023.08.01
haru nomura と人vol.14 大道良太(養蜂家・狩猟者)
haru nomuraの周辺の人たちにスポットを当てたインタビュー形式のコラム「haru nomuraと人」。第14回目のゲストは、養蜂家・狩猟者の大道良太さんです。
大道さんをご紹介する時、どのようにみなさんにお伝えしようかとても悩みました。
直球にいえば、養蜂家・狩猟者。けれど、大道さんにとっては養蜂も狩猟も、ごく当たり前の生活の一部。肩書きというよりも、もっと自然なこと。
もしかしたら、自然の中で暮らしを営む「生活者」としての大道さん、というご紹介の仕方がピタリと合うかもしれません。
ある時、大道さんの採集した蜂蜜を頂いたことがありました。その味の豊かさに、蜜蜂や植物や土や空気や、関わる人の手の存在を強く感じたのを覚えています。毎朝トーストに塗るのが嬉しくて、朝起きるのが楽しみになったくらい(北白川ちせさんに置いていますよ)。美味しく満たされたと同時に、私もそんなものが作りたいと憧れたのでした。
淡々と四季を生きていく。厳しさも豊かさも含めて命を感じていく。その強さは、人間としてとても魅力的です。
今回は大道さんに、自然と動物との暮らしについてお聞きしました。
–
Q.普段のお仕事や暮らしについて教えてください。
春から秋にかけて養蜂を行っています、狩猟は冬に行います。
春、暖かくなるとミツバチたちはゆっくりと活動を始めます。少しづつコロニーを大きくし、外敵や気温などに負けないチームを作り上げていきます。そこに少し手を加えてやって採蜜量を増加させ、その分を※彼女たちから分けて貰います。
夏、暑すぎる気温と外敵によりコロニーの成長は止まります。夏季は花も少なく、ミツバチたちにとっては働けど働けど成果が出ない季節です。そんな時期には春にたくさん採れた蜜や花粉を戻してやります、そうしてコロニーへのストレスを軽減することは優しいミツバチに育てることにも一役買ってくれます。
秋、花の開花は冬越しに向けて準備をするミツバチたちを助けます。
必要な蜜量やコロニーの規模を確認し、足りない分を補う様に手を貸すことで厳しい冬を乗り切るお手伝いをします。
冬、ミツバチたちは集団で身を寄せ合って暖をとり、貯め置いた蜂蜜を食べて、春を待ちます。減っていく仲間と貯蜜量からストレスが高まり彼女たちの機嫌が悪い季節でもあります。この様な時は手を加えようとせず、そっとしておいてやるのが一番です。他の生き物たちも冬越しに向けてたらふく栄養を蓄えています、狩猟を行う季節です。山を歩き、足跡を見て獲物を判断し、猟犬と共に獲物を追い詰めます。一日がかりで獲れた獲物を仲間と分かち合います、もちろん犬たちも一緒です。狩猟で得る動物の肉が農村地域の貴重なたんぱく源であることは昔も今も変わりません。
自分の生活する地域、風土に順応した季節の営みがまた一年過ぎ、巡っていきます。
※ミツバチのコロニーはわずかなオスバチを除き、すべてメスの姉妹である。
–
Q.狩猟という仕事ををひとことで言い表すと。
冬季の営みです。
狩猟に係わりのない生活を送っておられる方々にとっては、狩猟は特殊な活動と思われていると思います。しかし狩猟文化が古くから根づいた土地で生まれ育った私からすると狩猟は冬になれば行う営みの一つにすぎません。
–
Q.どんな時に幸せを感じますか。
季節の移ろいを感じながらの営みに幸せを感じます。
無理をせず、無理をさせずに風土に応じた活動を続けることが地域的な文化を生み出す(守る)と考えています。どこにいても情報を得やすい今日ですが、自分の生活する地域に目を向けて適した選択ができるようになりたいです。
–
Q. haru nomuraのかばんにまつわるエピソードがあれば教えてください。
長く養蜂に携わってきましたが、数年前に蜂毒に対しアナフィラキシー反応が出るようになりました。エピペンを携帯するようになり、財布、携帯、エピペンが入り普段持ち歩くにも馴染むポーチが無いかと探していたところ、haru nomuraのかばんに出会いました。
最初はごわごわして硬かったカキシブ染めのポーチは三か月ほどで柔らかくなり、今も毎日下げています。
–
Q.さいごに
haru nomuraのかばんについて。私にとってはかばんは道具ですので、使い勝手が悪ければ使わなくなり買い換えます。ですがまだ当面の間はポーチ探しの必要は無さそうです!
–
【Profile】
大道良太
1979年京都市生まれ。2002年京都精華大学卒業。
京都北山に生まれ育ち、伝統的な巻き狩りや地域に伝わる養蜂を教わる。狩猟歴、養蜂歴ともに14年。
大日本猟友会狩猟指導員、京都府緑の指導員などを兼任。
主な活動に、環境省主催「ビギナーのための狩猟講座」メインコメンテイター、総合地球環境学研究所「熱帯泥炭社会プロジェクト」植林地害獣捕獲アドバイザーなど。論考に『犬からみた人類史』(勉誠出版、2019年)がある。