2024.06.25

トークイベント「作品と生活のあいだ—”5 essays”ができるまで」

トークイベント「作品と生活のあいだ—”5 essays”ができるまで」

日時:7月7日(日)19:30~
場所:VOU3F 
登壇者:川良謙太(VOU)×仲村健太郎(Studio Kentaro Nakamura) ×野村春花(haru nomura)
トークのリンク:https://youtube.com/live/ISncnek9rJo?feature=share
展示に合わせて、トークイベントを開催いたします。
Youtubeにて無料配信です。
後日、アーカイブの配信もございます。

会場でも、10名程度拝聴いただけます。
お席は限られますが、ご興味のある方ぜひご参加くださいませ。

お申し込みはこちらから(定員に達し次第、締め切り)
https://forms.gle/WZ8AjwSEfCrgbfGGA

本展「5 essays」は、草木染めのかばんブランドharu nomuraによる、VOUでの初個展です。この展示では、haru nomuraを主宰する野村春花と、その周辺の5人(ペインターや写真家、美容師やデザイナー)との対話から生まれた新作が展示されます。

本展で発表されるかばんは、これまでの野村が一人目のユーザーとして作るかばんとは異なり、他者との言葉を交わす過程を経て作られました。そしてその対話は、「ユーザー」と「かばん作家」の括弧を外した、ひとりとひとりが向き合うことから始まりました。「商品企画」から始まるのでもなく、また一方で「オーダーメイド」でもなく、ひとりの生に向き合って生まれたかばんたち。それは、モノから生活をつくるのではなく、生活からモノをつくる試みであり、言い換えれば生活が内包する人の弱さや、草木染が内包する色の弱さを肯定しながらモノをつくる試みでもあるのです。

仲村健太郎(Studio Kentaro Nakamura、展示共同企画)

お問い合わせ先 harunomura.bag@gmail.com

2024.06.16

5 essays

haru nomura sacks and bags works exhibition
5 essays

2024年6月29日(土)—7月15日(月)
VOU / 棒

13:00-19:00|木曜定休
京都市下京区筋屋町137

神馬啓佑
坂本愛
仲村健太郎
堀井ヒロツグ
VOU

本展「5 essays」は、草木染めのかばんブランドharu nomuraによる、VOUでの初個展です。この展示では、haru nomuraを主宰する野村春花と、その周辺の5人(ペインターや写真家、美容師やデザイナー)との対話から生まれた新作が展示されます。

haru nomuraのかばんづくりは、ユーザーが中心にあります。太い持ち手は肩や手に食い込まないように考慮され、天然素材の布や草木染めの色の表情は、さまざまなユーザーの年齢や服装にフィットするように作られています。これまで発表されてきたかばんは、野村自身が一人の使い手として使い心地の良い形やディテールを考えて、作られてきました。
一方で、草木染めには「弱さ」も存在します。化学染料とは異なり、天気や気温といった外的要因によって、全く同じ色は作れないこと、そして、褪色しやすいこと。そのため、haru nomuraでは染め直しなどを行う、販売後のかばんの定期的なメンテナンス「かばんの健康診断」が行われています。そこには、野村の他者に対する——おせっかいとも言えるほどの——ひとりひとりの生活への愛情や、かばんへの愛情があります。化学染料と比べると草木染めの色は弱く、その色は、染め直しやケアによって支えられる必要があるのです。作家として、草木染めという制作技法を選んだ野村が、色に対してだけではなく、自身のかばんへのユーザーへのケアをまなざしていることも、ある意味必然だったのかもしれません。

弱い存在であること、誰かに依存しなくては生きていけないということ、支援を必要とするということは人間の出発点であり、すべての人に共通する基本的な性質である。誰の助けも必要とせずに生きることができる人は存在しない。人間社会では、いつも誰かが誰かをサポートしている。ならば、「独りでは生存することができない仲間を助ける生物」として、人間を定義することもできるのではないか。弱さを他の人が支えること。これが人間の条件であり、可能性でもあるといえないだろうか。
村上靖彦『ケアとは何か—看護・福祉で大事なこと』より

本展で発表されるかばんは、これまでの野村が一人目のユーザーとして作るかばんとは異なり、他者との言葉を交わす過程を経て作られました。そしてその対話は、「ユーザー」と「かばん作家」の括弧を外した、ひとりとひとりが向き合うことから始まりました。「商品企画」から始まるのでもなく、また一方で「オーダーメイド」でもなく、ひとりの生に向き合って生まれたかばんたち。それは、モノから生活をつくるのではなく、生活からモノをつくる試みであり、言い換えれば生活が内包する人の弱さや、草木染が内包する色の弱さを肯定しながらモノをつくる試みでもあるのです。

「随筆」を表す”Essay”の語源はフランス語で「試みる」ことだそうです。
この空間には5つの”Essay”が、並んでいます。暮らしを描写する随筆のように気ままに自由に作られたかばんが。そして、人一人の弱さから始まり、わたしたちを新しい可能性へと開いていくかばんが。

仲村健太郎(Studio Kentaro Nakamura、展示共同企画)

トークイベント「作品と生活のあいだ——”5 essays”ができるまで」
7月7日(日)19:30–
川良謙太(VOU)×仲村健太郎(Studio Kentaro Nakamura)×野村春花(haru nomura)
・オンライン無料配信
YouTubeのリンクはこちら https://youtube.com/live/ISncnek9rJo?feature=share
・会場での視聴・10名程度(無料)


展示共同企画:仲村健太郎(Studio Kentaro Nakamura)
写真:堀井ヒロツグ
映像:嶋田好孝
モーション:武居泰平
撮影協力:仲村逸平
企画協力:VOU

2024.06.01

haru nomura と人 vol.23 河野ひかる(manimani店主・デザイナー)

haru nomuraの周辺の人たちにスポットを当てたインタビュー形式のコラム「haru nomuraと人」。第23回目のゲストはmanimani店主・デザイナーの河野ひかるさんです。

京都市北区紫野。船岡山の南に位置する紫野エリアに、河野さんのセレクトショップ「manimani」はあります。近隣には、1923年創業の歴史ある船岡温泉、銭湯をリノベーションした喫茶店さらさ西陣などがあり、クラシックな京都の空気が流れています。

河野さんとの出会いは、いつの間にか。学生時代だったような気もするし、もっとずっと昔のような気もする…卒業後に出店していたイベントだったような気もする…。浮かぶのは、河野さんのいつも朗らかな笑顔と、楽しくおしゃべりをしている様子です。昨年夏にセレクトショップ「manimani」をオープンされ、haru nomuraの商品をお取り扱いいただくことになりました。まさに、まにまに、なご縁です。

このインタビューを読んでいる人の中には、「将来独立してお店をやってみたい」という想いを持っている人もいらっしゃるかと思います。河野さんの「使い手と作り手を繋ぎたい」というまっすぐな思いから生まれる小さなお店の在り方、参考になりそうですよ。

今回は河野さんに、「manimani」のお店についてやharu nomuraの商品の印象についてお聞きしました。

Q.manimaniのお店について教えてください。

京都市北区にある、築約100年の町家「藤森寮」の一室にオープンしているセレクトショップです。元学生寮だった藤森寮にアトリエやショップが入居して使用しています。全部で9部屋あるのですが、それぞれ入居者がDIYなどで部屋作りをしていて個性が出ていておもしろいですよ。縁あって入居が決まり、2023年7月にオープンしました。

店の近くは大徳寺や船岡温泉、さらさ西陣などもあり、街全体にのんびりとしたあたたかい空気が流れつつも、色々と巡る場所があって好きになりました。manimaniでは野村さんのかばんをはじめ、アクセサリーや器などを販売しています。

名前の由来は古語「随に」から。成り行きに任せるという意味と、「〜のままに」という意味があります。「心のまにまに」で「心のままに」。自分がいいと思ったものや、その場の直感で「これ!」という商品に出会って欲しいなと名前を決めました。店を通して誰かの心動く瞬間や、世界を広げるきっかけを作りたいなと思っています。

Q.セレクトショップを立ち上げた経緯は?

芸術系の大学に通っていたこともあり、学生時代からいつか自分でお店を開きたいなと思っていました。学部生の頃、文化財の保存修復や庭園史などを学ぶうちに、伝統産業や工芸といった手仕事に興味を持ったこともきっかけの一つです。

いい作品を作る人がたくさんいるから、作り手と使い手の橋渡しができるような場所を作りたい。自分が「いい」と思ったものを、お客様に届けたい。
そんな思いで立ち上げました。

Q.どんな視点で商品をセレクトしていますか。

私が「いいな、使ってみたいな」と思った作家さんのものを選んでいます。長く使っていただきたいからこそ、私自身がいいと思ったかどうかはとても大切にしています。いい意味で余白や余韻があり、使い手の工夫ができそうなものも好きなので、そういったものも多いですね。

Q.haru nomuraのかばんの印象は?

学生時代にharu nomuraのかばんを知り、「素敵なものづくりをされている先輩がいる!」と勝手に憧れていました。実際にお会いして、ものづくりへの姿勢やコミュニケーションがとても丁寧で、それがそのままかばんに表れていらっしゃると感じています。

かわいくて使いやすく、染め直しなども含めてユーザーに寄り添ったかばんですね。日々使うかばんって、見た目と使い勝手どちらも大切だと思うんです。
haru nomuraのかばんはそれを兼ね備えていて、いちユーザーとしてファンです。襷のような太めのショルダーのかばんと、Pocketを使っているのですが、出かける時の用途によって使い分けています。かばんの形も、野村さんが生活の中で目に留まったものから着想を得ていたり、こういうものがあったら便利だな、というものをデザインされていてシンプルだけど他にはない、野村さんならではの視点から作られていて素敵だなと思います。

タグにいつ染められたのかも書いてあって、「この時に染められたのか」と想像するのも楽しいですね。天然染料ならではの揺らぎや個体差も愛おしく感じます。

Q.さいごに

manimaniでは常設商品の販売のほかに、作家さんのポップアップなども行っています。先日までイラストレーターのおおえさきさんのポップアップを開催していたのですが、見たい景色をお客様と共有することができ、喜んでいただけたことが嬉しかったです。

まだまだ成長途中の店ですが、お客様が何度訪れても楽しんでいただける場所を目指して続けていきたいなと思っています。のんびりと西陣周りをお散歩がてら、ぜひ遊びに来てください。

【Profile】
京都造形芸術大学大学院 芸術専攻科 デザイン領域修了
大阪と京都でデザイナーとして働いたのち、manimaniを立ち上げる。
現在はmanimaniを運営しながらフリーランスのデザイナー・ライター・京都芸術大学非常勤講師として活動。

・Instagram
@manimani.store

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